トシオを残して、バイクの集団は、泡食ったように、走り去って行った。
残されたトシオは、裕太にシッカリと、
押さえ込まれたまま、抵抗をするのを、止めた。
さすがに、裕太も、焦りの色が見えていた。《一刻も早く帰らないと、母さんが、
爆発するなぁ～》と、内心、パニクっていた。
その様を見ている、岸本先生は、のんびりとした声で、
「あんまり、無駄な抵抗はしない方が、
いいぞぉ～
今度は、タダでは済まないかもしれないな～私も、一市民として、今度ばかりは、
警察に通報させてもらうからね。
そうすると、どっちが、自分の身のためか、考えたほうがいい」
先生は、静かにだけど、キッパリはっきりと、脅し文句をつきつけた。
「間違いなく、児童相談所送りだろうな～」
トシオ、さすがに、ガックリとうなだれる。
「そ～そ～、素直が一番！」
先生は、うれしそうだ。
「まず、聞きたいのは、さっきの子供達は、何者なんだ？」
トシオは、口をきゅっと、引き結ぶ。
「親子さんは、知ってるのか？」と言うと
初めてへっ！と笑い
「あんなの、親なもんか！」と、あざけるように、言う。
「ヤツらも、似たようなもんさ。なんも、
言えないはずだ！」
先生は、しばし、考え込んだ。