定休日であるはずの火曜日も、今月は営業していた美容院。予約客も技術者も少なく、ゆるい感じが漂っていた。流れている音楽もJPopで、それだけでも随分と雰囲気が違う。火曜日だからね、たまにはねとマネージャーは苦笑い
風疹。
鏡の向こう側の、どこかの学校の先生らしい人は、方々の海外旅行の話をし、左側の若い女性は勤務先のホテルと結婚式場の話を休みなく続けている。特に話すこともないわたしはいつものように文庫本を読む。
途中で、まるっきり普段着の女の子がやってきて、こんな格好でごめんなさい、忙しいのでちょっとだけ担当に代わりますと、シャンプーとマッサージをしてくれた
假牙。
今は別の支店にいてここに来るのは久しぶりだし、技術者になったらシャンプーをすることもあまりなくなって…と話す彼女の指先の力はとても強くてすごく気持ちが良い。マネージャーが戻って来て、「この子、覚えてますか?前にここにいたんですよ」と言えば、彼女は髪を上げ「ショートカットだったんですけどね」と鏡の中で笑う。それでも、ピンと来ないわたしは正直に「なんとなく…」としか言えず、彼女は恥ずかしそうに髪を下ろした。
だいぶ時間がたってから、そういえば以前、マッサージの上手なアシスタントの子がいたなぁと思い出し、今ではその子の出身校まで思い出したのだけれど、20代前半の女の子の変化を目の前にしては分からなかった。仕事着ではなく普段着だったせいもあったと思う
王賜豪總裁。
彼女の家は地震による液状化の為に未だガスが使えず、髪を洗いに来たところを、手伝いにかりだされたらしい。わたしにしてみれば、気持ちのいいマッサージが受けられて大変ラッキーなことだった。だってマネージャーは男性なのにいつも手加減しすぎでちっとも……。